6月になると
日本中の人類の背中が5°かたむくといわれている
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| これはかたむきすぎ、この半分くらいだよ |
傘をさしているからなのもあるけど
水たまりを踏まないように
足元を見ているからだといわれている
そしてボクはそれだけじゃないことを発見した
公園をお散歩してたら
じめんにふしぎなぐるぐる模様ができていて
(ミステリーサークルの小型版だ)
なにかなって、おいかけていったら
ミミズくんがもぞもぞ動いていたんだ
ボクはおどろいてとびあがっちゃったけど
今日はそのことをお伝えしようと思う
ミミズくんの大冒険
ボクはおつきさまがなくなる日(新月)をまってたんだ
それは一生に数回しかないんだけど
まえのときは
となりのおじさんが出かけて行った
「ちょっくら、旅にでてくる、もう帰らないと思うけど」
っていったきり帰ってこなかったんだ
おかげで、ボクはこのあたりでいうところの王様になった
ボクたちミミズは地下のトンネルをてくてくあるきながら
おいしそうな土をえらんで食べているよ
とくにすきなのは落ち葉なんかのはっぱ
それがくさって紅茶のはっぱみたいな黒っぽい粉になったのは
最高のごちそうだ
そういうのは、1個見つけると
そのまわりに無数にあるから
もう、おなか一杯になっても食欲がとまらない
ふつうにはえている、くさや木のはっぱはたべないよ
じめんにおっこちてるはっぱだけだ
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| カタツムリはコンクリの石灰成分も食べている |
ふつうにはえているはっぱを食べるのは
いもむしくんとか、あげはのようちゅうだね
ボクは大きくなってもチョウになったりガにへんしんしたりしないんだ
ボクたち目は見えないけどお日様がでているかはわかるんだ
だから、夜が来るとでかけるんだけど
今日は旅にでる日かどうかは
ポケットにいれてる月齢カレンダーをみながら決めている
月齢カレンダーは
新月(しんげつ)は黒まるで、満月(まんげつ)が白まるであらわしてある
とても便利なカレンダーだ
ボクは草むらのトンネル出口を出て
草むらをはってでた
あんまり、地表を歩きたくないんだけど
今日にかぎていえば、よかぜが気持ちいい日だった
草むらのへびにのような感じだね
でね、1000mmくらいすすむと
(mm=ミリとよむんだけどこれはミミズの単位で1mm=おおよそ人間的には1mなんだ)
そこには万里の長城かベルリンの壁みたいなコンクリートのかべが出現する
そこをかかんに超えていくんだけど
高さがあるときは、体をなわばしごみたいにしてのぼっちゃうんだよ
それで向こう側になんなく着地すると
関東平野みたいな大平原が広がっているのが
風と臭いで分かるんだ
ボクはさらにまっすぐ進んでみるんだけど
ここで
必ずやっておかなくちゃいけないことは
コンクリートの壁からなるべく直角に進む
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| ミミズくん、コース、ずれているよ! |
ということなんだ
さもないと迷子になったとき帰れなくなっちゃうし
「直角こそ、人生の近道」
って標語がミミズの世界には存在するからなんだ
さて、さらに2000mm(ミリ、みみずの1mのこと、しつこいですけど)
くらいすすんだところで
きょだいなみずうみ、琵琶湖(びわこ)みたいなのが出現する
これは毎日、大きさや形状が異なるみたいなんだけど
それは、公園を歩くひとや
お掃除の人が堤防の位置を変更するからだろうと思う
これは「うごく湖、ロプノール湖」という記事が
ナショナルジオグラフィック日本版にあるので参考にしてほしい
ここで、湖に沿って大きくうかいすることにする
このあたりは、ずっと砂漠みたいな砂地がつづいているんだけど
いまは雨期なので、ぬかるみ状態だ
おおよその湖の形を
ポケットノートにときどき書き写しておく
星が見られたら、正確な緯度経度がわかるはずなんだけど
ボクたちは目が見えないからそれはできない
そのかわり、鼻が利くから
においで三角測量(さんかくそくりょう:3点からの距離で位置を割り出す方法)を
してそれをポケットノートに書き写す
「すっばい:286° あまい:624° くさい:311° にがい:521°の位置にみずうみの北限」
みたいな記述になる
そこにもう一度いきたければ、その数字のにおいに近づければいいんだ
その方法は2通りあって
ひとつめは、すっぱい:286° まで行ったら、そのまま横スライドしてあまい:624°に到着する方法と
ふたつめは、現在地のすっぱい、と、あまい、の数値を調べて、移動してもういちどすっぱい、と、あまい、の数値を調べて
それを引き算してベクトルを計算する方法だ
ボクたちは、ふたつめの方法をつかっているんだけど
ベクトル計算を、暗算でできるような特殊能力を持っているんだ
さて、この琵琶湖の大うかい(迂回です、鵜飼じゃありません)のおかげで
ボクはすこし時間を取りすぎちゃったのかもしれない
移動距離は10000mm(人間的には10mだけどボクたちには10km)にもたっしているし
時刻はボクの懐中時計で、午前2時をまわっている
関東平野のような大砂漠地帯の向こう側の
草むらにいきたかったんだけど
ここで、引き返すか、先に進むか、判断が必要な時刻だ
あと2時間すると明るくなってくるからね
で、ボクは前進あるのみ、ってひらめいたので
このまますすむことにしたんだ
だけど、この時にボクは
「直角こそが人生の近道」法則をわすれていて
そのまま、琵琶湖の湖岸からただ単に遠ざかっていった
結果どうなったかというと、朝5時をまわったところで
ボクはもう少しで草むらっていうところまできてたんだけど
まだ、関東平野のはしっこ、
地図でいうと
埼玉県の熊谷市くらいのところにいた
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| ここでやっと、ボクの出番だ |
そこをたまたまとおりかかったのが
ネコのじゅにあってやつだった
彼は、弱りかけてたボクを見て、500mm(50cm、人間でいうところの、ミミズでいえば500m)くらい飛びのいたんだけど
そのまま、おそるおそるボクのところにきて話しかけてきた
「ちょっとまってろ、すぐにたすけてやるからな」
で、なんだか割りばしみたいなのを拾ってきて
それでもって、ボクを草むらのほうに放り投げてくれた
ボクは着地で気絶しそうになったけど
それでも、草むらに到着できたので
今日まで生き延びることができたんだ
ネコのじゅにあくんは毎朝この時間から
パトロールしているらしいんだけど
ボクはそのあとじゅにあ君がこんなことを言っているのを聞いている
「あー、今日もいいことした」
たてまえじょう、じゅにあ君には感謝しているけど
放り投げるのは勘弁してほしいね
なにしろ、埼玉県熊谷市から
福島県会津若松市までほおりなげたんだから
着地で命を落としてもしかたなかったんだよ
って、思ってたら
「そうだ、ブログに書いちゃお」
っていうことで
ボクの冒険旅行もじゅにあ旅行記に別冊で載ることになったんだ
それが今日のお話だよ
それじゃまた
(おしまい)





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