ボクは、ネコのじゅにあだ。まいにち、きんじょをパトロールしている。なつやすみになったからキャンプすることもふえたよ。それじゃあ、きょうのおはなしをするね。むかし、むかし、あるところに
えー、きょうのおはなしを いっせき |
クズひろいをしている、おっちゃんがおったんじゃ
わー、なんかいいもんみつけた |
クズっていうのは、ゴミのことなんじゃが、むかしの「クズ」っていうと、なおせば、つかえるものだったんじゃ。
このおっちゃんは、いっけんずつ、おうちをまわって「クズありませんかぁ」「かたづけますよーー」って、あるいていた。
いまでいうと「ボランティア」とか「はいひんかいしゅう」かもしれない。
だから、まちのひともくずやのおっちゃんがくると「もうちょっと、つかえるかも」と、おもいながらも「これ、もっていってくれる?」みたいなかんじで、あなのあいたジュウタンや、ふたのないナベ、うごかないトケイ、なんかをあげていた。
くずやのおっちゃんは、
そんなクズをひきとってきて
このパン、えどじだいのなんじゃ |
かなもの(てつでできたもの)は、くずてつやさんが、かいにきた。
おさらや、ゆのみは、こっとうやさんが、かいにきた。
ふるしんぶんは、ちりがみこうかんやさんが、かいにきた。
じてんしゃや、こわれたそうじきは、どうぐやさんが、かいにきたんだ。
ときどき、ナベのふただけもってるひとが、ふたのないナベをかいにくることもあった。
だから、くずやのおっちゃんは、まずしかった(びんぼうのこと)けど、たべるくらいのかせぎは、あったみたいだ。
そんなあるひのこと、くずやのおっちゃんはみちばたで、
いちじくのはっぱみたいなのをひろった
いちじくのはっぱのは、このなかに たいせつに、しまってある |
ふうつ、きのはっぱは、くずやのおっちゃんもあつめていない。
だけど、このいちじくのはっぱは、もつところがついていて、にぎりやすくなっていたんだ。
「これは、なにかのどうぐかな?」って、おもったので「どうぐやの、いたさんに、みてもらおう」って、おもって、もってかえったんだ。
もってかえって、びっくりしたんだけど、じたくのひびのはいったふるい、かがみをみて「なんじゃこれは」って、さけんでしまったんだ。
なんと、くずやのおっちゃんの
はなが、ピノキオみたいにのびてたんだ
まじか、てんぐのうちわだったとは! |
「なんでだろ~」って、おもったんだけど、かえるときに、いちじくのはっぱをうちわみたいに、あおいだことしかおもいだせない!!
「まさか、これは、てんぐのうちわ??」って、おもったので、ためしに、もういちど、あおいでみた。
かがみをみてみると「あらら、ぐんぐん、はなが、みじかくなってる??」どういうことだ?
てんぐのうちわに、まちがいはないけど、いちどめは、はながたかくなったし、いまやってみたら、はながひくくなった。
「???」
それで、いちじくのはっぱの、てんぐの、うちわをよーくみてみると
「あ、のびるって、かいてある」
1ミリくらいのちいさいじで 「のびる」「ちぢむ」 って、かいてあった |
マジックでちいさく「のびる」ってかいてあるのをみつけた。
うらがえしてみると「ちぢむ」って、マジックでかいてある。
「ははーあ、てんぐも、まちがえないようにのびるほうとちぢむほうをかいたんだなぁ」
どれ、っということで、もういちど「のびる」ほうをうえにして、あおいでみると「おおー、はながのびたのびた、これくらいが、かっこいいかな」っと、いいながら、あおぐのをストップ。
「これ、なんかに、つかえないかなぁ」と、くずやのおっちゃんは、かんがえてみた。
さて、れいの
「ピンポンだまのせんりがん」の、おやこ
またまた、とうじょう |
れいの、「せんりがん」をためしたことがあるおやこが、となりにすんでいた。
参考:しょうじきものは、ちょっとくらいトクをするという「なごや」でのはなし
このおやこの、きょうだいは4にんもいて、なまえがいまだに、おぼえられない。
このきょうだいのすえっこ、ぴっちゃんはたいへんな、はたらきもので、いつも、かいものや、おとどけものの、おてつだいをやっていた。
それで、そのひも、すえっこのぴっちゃんが、くずやのおっちゃんのところに
かいらんばんをもってきた
かいらんばんをもってきた |
「こんちはーー、おっちゃん、おる?」ぴっちゃんが、さけぶ。
くずやのおっちゃんは、みみがとおい(みみがわるいこと)。
「おおー、きたか、きょうはなんじゃ?」
「おっちゃん、かいらんばんもってきたよ」って、ぴっちゃんが、こたえた
「もうちょっとしたら、りょっちゃんが、かいらんばんをまわしにくるね」っていって、かえっていった。
「あのおっちゃん、みみがとおいだけじゃなくて、ぼくらのなまえもおぼえとらんのじゃないかなぁ」と、ブツブツいいながら、ぴっちゃんはかえっていった。
それから1じかんくらいして、りょっちゃんが
かいらんばんをまわしに
きがきく、りょっちゃん |
おっちゃんちにやってきた。
「おっちゃん、おる~?」
「おおー、きたか、なんじゃったかの?」
「あ、かいらんばん、とりにきたよ、となりに、まわしてくるから」
「おおー、そうじゃった、かんらばんのぉ、いつもありがと」っと、いってかいらんばんを
りょっちゃんにわたしたところで、くずやのおっちゃんは、ハタといいことをおもいついた。
「そうじゃ、かいらんばん、これでとどけてみよー」
「え、なになに」
ということで、くずやのおっちゃんは、りょっちゃんからかいらんばんをとりかえすと
かいらんばんをかおのうえにおいて
いっぽもあるかず、かいらんばんを とどけることにせいこうしました くりかえします、いっぽも…… |
てんぐのうちわで、かおをあおぎはじめた。
はなが、ぐんぐんのびていく。
「ちょっと、となりにいって、かいらんばんうけとってくれるか?」と、りょっちゃんにいって、おっちゃんはさらに、てんぐのうちわであおいでみた。
となりのいえのまえに、はしっていったりょっちゃんは、はなのさきにぶらさがっている、かいらんばんをうけとって「もらったよ、これ、らくちんじゃなぁ」って、いった。
「おおー、だいせいこうじゃ、こりゃいい」って、おっちゃんは、いいながら、はなをあおいで、みじかくして、いつもの、おっちゃんにもどった。
りょっちゃんから、このはなしをきいたぴっちゃんは、おっちゃんちにいって、「どうやったん?それ?」ってしつもんしてみた。
そしたら、おっちゃんは、いつものおてつだいのおれいで、このきょうだいに
てんぐのうちわをかしてくれた
ひだり:おっちゃん、なか:りょっちゃん みぎ:ぴっちゃん |
「くれぐれも、あおぐほうこうをまちがえんようになぁ」
おっちゃんは、そういって、てんぐのうちわをかしてくれたんだ。
さて、てんぐのうちわをかりた、きょうだいは、かいものや、おとどけものの、おてつだいをずーっと、まじめにやるようになった。
なにしろ、てんぐのうちわがあれば、かいものにいくのもらくしょう(ちょーラク)だ。
おとどけものだって、はなにぶらさげて、うちわであおぐだけだ。
それまでは、
おおきなにもつをもって
おおきいにもつを はなにぶらさげて うちわであおぐところ |
やまをのぼったりしてたから、そんなことしなくても、ビュンっておとどけものができる。
いまでも、てんぐのうちわは、このいえの「かほう」になっている。
てんぐのうちわようにいれものもあたらしくして(↓)ずーっと、たいせつにつかっているってさ。
あたらしい、てんぐのうちわケース |
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