小学5年生向け物語|鳥取県の大山に伝わる「てんぐのうちわ」という話

2021/08/14

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 ボクは、ネコのじゅにあだ。まいにち、きんじょをパトロールしている。なつやすみになったからキャンプすることもふえたよ。それじゃあ、きょうのおはなしをするね。むかし、むかし、あるところに

なつやすみになったから
えー、きょうのおはなしを
いっせき

クズひろいをしている、おっちゃんがおったんじゃ

クズひろいをしている、おっちゃんがおったんじゃ
わー、なんかいいもんみつけた

くずひろいをしている、おっちゃんがおったんじゃ。

クズっていうのは、ゴミのことなんじゃが、むかしの「クズ」っていうと、なおせば、つかえるものだったんじゃ。

このおっちゃんは、いっけんずつ、おうちをまわって「クズありませんかぁ」「かたづけますよーー」って、あるいていた。

いまでいうと「ボランティア」とか「はいひんかいしゅう」かもしれない。

だから、まちのひともくずやのおっちゃんがくると「もうちょっと、つかえるかも」と、おもいながらも「これ、もっていってくれる?」みたいなかんじで、あなのあいたジュウタンや、ふたのないナベ、うごかないトケイ、なんかをあげていた。

くずやのおっちゃんは、

そんなクズをひきとってきて

そんなクズをひきとってきて
このパン、えどじだいのなんじゃ

ほしいひとがいたらうってあげていた。

かなもの(てつでできたもの)は、くずてつやさんが、かいにきた。

おさらや、ゆのみは、こっとうやさんが、かいにきた。

ふるしんぶんは、ちりがみこうかんやさんが、かいにきた。

じてんしゃや、こわれたそうじきは、どうぐやさんが、かいにきたんだ。

ときどき、ナベのふただけもってるひとが、ふたのないナベをかいにくることもあった。

だから、くずやのおっちゃんは、まずしかった(びんぼうのこと)けど、たべるくらいのかせぎは、あったみたいだ。

そんなあるひのこと、くずやのおっちゃんはみちばたで、

いちじくのはっぱみたいなのをひろった

いちじくのはっぱみたいなのをひろった
いちじくのはっぱのは、このなかに
たいせつに、しまってある

ふうつ、きのはっぱは、くずやのおっちゃんもあつめていない。

だけど、このいちじくのはっぱは、もつところがついていて、にぎりやすくなっていたんだ。

「これは、なにかのどうぐかな?」って、おもったので「どうぐやの、いたさんに、みてもらおう」って、おもって、もってかえったんだ。

もってかえって、びっくりしたんだけど、じたくのひびのはいったふるい、かがみをみて「なんじゃこれは」って、さけんでしまったんだ。

なんと、くずやのおっちゃんの

はなが、ピノキオみたいにのびてたんだ

はなが、ピノキオみたいにのびてたんだ
まじか、てんぐのうちわだったとは!

「なんでだろ~」って、おもったんだけど、かえるときに、いちじくのはっぱをうちわみたいに、あおいだことしかおもいだせない!!

「まさか、これは、てんぐのうちわ??」って、おもったので、ためしに、もういちど、あおいでみた。

かがみをみてみると「あらら、ぐんぐん、はなが、みじかくなってる??」どういうことだ?

てんぐのうちわに、まちがいはないけど、いちどめは、はながたかくなったし、いまやってみたら、はながひくくなった。

「???」

それで、いちじくのはっぱの、てんぐの、うちわをよーくみてみると

「あ、のびるって、かいてある」

「あ、のびるって、かいてある」
1ミリくらいのちいさいじで
「のびる」「ちぢむ」
って、かいてあった

マジックでちいさく「のびる」ってかいてあるのをみつけた。

うらがえしてみると「ちぢむ」って、マジックでかいてある。

「ははーあ、てんぐも、まちがえないようにのびるほうとちぢむほうをかいたんだなぁ」

どれ、っということで、もういちど「のびる」ほうをうえにして、あおいでみると「おおー、はながのびたのびた、これくらいが、かっこいいかな」っと、いいながら、あおぐのをストップ。

「これ、なんかに、つかえないかなぁ」と、くずやのおっちゃんは、かんがえてみた。

さて、れいの

「ピンポンだまのせんりがん」の、おやこ

「ピンポンだまのせんりがん」の、おやこ
またまた、とうじょう

れいの、「せんりがん」をためしたことがあるおやこが、となりにすんでいた。

参考:しょうじきものは、ちょっとくらいトクをするという「なごや」でのはなし

このおやこの、きょうだいは4にんもいて、なまえがいまだに、おぼえられない。

このきょうだいのすえっこ、ぴっちゃんはたいへんな、はたらきもので、いつも、かいものや、おとどけものの、おてつだいをやっていた。

それで、そのひも、すえっこのぴっちゃんが、くずやのおっちゃんのところに

かいらんばんをもってきた

かいらんばんをもってきた
かいらんばんをもってきた

「こんちはーー、おっちゃん、おる?」ぴっちゃんが、さけぶ。

くずやのおっちゃんは、みみがとおい(みみがわるいこと)。

「おおー、きたか、きょうはなんじゃ?」

「おっちゃん、かいらんばんもってきたよ」って、ぴっちゃんが、こたえた

「もうちょっとしたら、りょっちゃんが、かいらんばんをまわしにくるね」っていって、かえっていった。

「あのおっちゃん、みみがとおいだけじゃなくて、ぼくらのなまえもおぼえとらんのじゃないかなぁ」と、ブツブツいいながら、ぴっちゃんはかえっていった。

それから1じかんくらいして、りょっちゃんが

かいらんばんをまわしに

かいらんばんをまわしに
きがきく、りょっちゃん

おっちゃんちにやってきた。

「おっちゃん、おる~?」

「おおー、きたか、なんじゃったかの?」

「あ、かいらんばん、とりにきたよ、となりに、まわしてくるから」

「おおー、そうじゃった、かんらばんのぉ、いつもありがと」っと、いってかいらんばんを

りょっちゃんにわたしたところで、くずやのおっちゃんは、ハタといいことをおもいついた。

「そうじゃ、かいらんばん、これでとどけてみよー」

「え、なになに」

ということで、くずやのおっちゃんは、りょっちゃんからかいらんばんをとりかえすと

かいらんばんをかおのうえにおいて

かいらんばんをかおのうえにおいて
いっぽもあるかず、かいらんばんを
とどけることにせいこうしました
くりかえします、いっぽも……

てんぐのうちわで、かおをあおぎはじめた。

はなが、ぐんぐんのびていく。

「ちょっと、となりにいって、かいらんばんうけとってくれるか?」と、りょっちゃんにいって、おっちゃんはさらに、てんぐのうちわであおいでみた。

となりのいえのまえに、はしっていったりょっちゃんは、はなのさきにぶらさがっている、かいらんばんをうけとって「もらったよ、これ、らくちんじゃなぁ」って、いった。

「おおー、だいせいこうじゃ、こりゃいい」って、おっちゃんは、いいながら、はなをあおいで、みじかくして、いつもの、おっちゃんにもどった。

りょっちゃんから、このはなしをきいたぴっちゃんは、おっちゃんちにいって、「どうやったん?それ?」ってしつもんしてみた。

そしたら、おっちゃんは、いつものおてつだいのおれいで、このきょうだいに

てんぐのうちわをかしてくれた

てんぐのうちわをかしてくれた
ひだり:おっちゃん、なか:りょっちゃん
みぎ:ぴっちゃん

「くれぐれも、あおぐほうこうをまちがえんようになぁ」

おっちゃんは、そういって、てんぐのうちわをかしてくれたんだ。

さて、てんぐのうちわをかりた、きょうだいは、かいものや、おとどけものの、おてつだいをずーっと、まじめにやるようになった。

なにしろ、てんぐのうちわがあれば、かいものにいくのもらくしょう(ちょーラク)だ。

おとどけものだって、はなにぶらさげて、うちわであおぐだけだ。

それまでは、

おおきなにもつをもって

おおきなにもつをもって
おおきいにもつを
はなにぶらさげて
うちわであおぐところ

やまをのぼったりしてたから、そんなことしなくても、ビュンっておとどけものができる。

いまでも、てんぐのうちわは、このいえの「かほう」になっている。

てんぐのうちわようにいれものもあたらしくして(↓)ずーっと、たいせつにつかっているってさ。

あたらしい、てんぐのうちわケース

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