ボクはネコのじゅにあだ。
しょうじきものはバカをみる、とか、しょうじきものはむくわれる、ってよくいわれているよね。
このしょうじきものがボクのしんせきにいるんだけど、きょうはそのおはなしだよ。
ほんとのところ、このものがたりはやく15ねんまえくらいにおこったんだ。
むかしむかし、あるところに、といっても、ほんとは、
なごや の ちぐさく
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↑ママと ↑パパ |
なごやの「ちぐさく」っていうところだったんだけど、おにいさんとおねえさんがすんでいた。
ふたりは、けっこんしたばかりで、ちいさいあかちゃんがベビーベットにねていました(このへんから、じゅにあちょうでつづけるね)。
このちいさいあかちゃんは、いたるクンというなまえだ。
こんかい、このいたるクンが「しゅやく」でもなんでもなくて、ざんねんながらベビーベットのなかからは、いっぽもそとへでてこない。
ごめんなんさい。
いたるクンのママ
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おかたづけ、おかたづけ |
で、このいたるくんのママなんだけど、なんでもくふうするのがとくいだった。
たとえば「すいはんき」がないときは「どなべ」でごはんをつくるし、もちろん、「すいはんき」がかえるようになっても、こんなくふうをしていた。
すいはんきのくふう
「すいはんき」のうえに100キンの500ccタッパーをおいて、そのなかにギューニューとヨーグルトをしょうしょういれて、「すいはんき」の「よねつ」で、じかせいヨーグルトをつくっていた。
もちろん、いえのなかのカーテンとか、レースあみのモノは、なんとなくおひめさまっぽぃかんじでしあげてあった。
いたるクンのパパ
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そうじきはつかわない しょうじきもの |
それから、いたるクンのパパだけど、まいにち、かいしゃにいっては、よなかにかえってくるおシゴトをしていた。
ふたりともしょうじきものでゆうめいだった。
んがりんせって?
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りょうりをはじめたそのときのこと |
あるとき、いたるクンのママがヨーグルトをかきまぜていると、ヨーグルトのなかにしろいピンポンだまみたいなのがしずんでた。
「おかしぃなぁ、なんじゃろか、これ?(なごやベンって、こんなかんじなのかなぁ?)」っとおもって、おタマですくってみた。
それをとりだして、すいどうであらってみると、ピンポンだまとおなじような「かたち」と「おおきさ」だった。
そしてあおいいろで、なにやらモジがかいてある。
「んがりんせ、?」
パパともそうだん
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とりあえず、けんさく |
それで、いたるクンのパパが、よなかにかえってきたので、きいてみることにしました。
「ちょっと、これなんなんかな?」
「なんなん、って、なんよ?ピンポンだま?」
「ここ、なんかかいてあるんじゃけどなぁあ、んがりんせ、ってなんじゃろか?」
「んがりんせ?にほんごは、さいしょに、ん、がついたりせんじゃろ。
ちょっとかしてみ?
「せ、ん、り、が、ん、?」
せんりがんってなによ」っとパパがいったところで、このピンポンだまは、もじのところでパカッと2つにわれて、メガネみたいなレンズがふたつあらわれた。
「まさか、これ」とパパがいった。
「まさか、これ、せんりがん?」とママもさけんだ。
で、パパとママはじゃんけんをしてどちらがさきにのぞいてみるか、きめて、まずはママがせんりがんをかけてみた。
せんりがんをかけてみた
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つぎは、パパのばんね、まってるよーー |
「うわー、うちゅうステーションでわかたこういちせんちょうが、てぇふっとるー」
「ほんまか、おい」
「うちゅうゆうえいしてるわーー」
「ちょっとかしてみ」ということでせんしゅこうたい、こんどはパパがせんりがんをかけてみると、
「あれれ、いたるのおとうとといもうとと、さらにちいさいおとうともおるよ」
「どういうこと? まさか、みらいもみえるんかね?」
「おとうとといもうとは、ふたごみたいじゃ」
「いやいや、そんなことないじゃろ、ふたごなんて」
と、うたがったせいで、せんりがんはヘソをまげて、また、ピンポンだまにもどってしまったんだ。
ピンポンだまなのか、せんりがんなのか?
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ピンポンだまメガネみたいな かおになってるよ、おい |
もういちどパパがせんりがんに、「せんりがん!」ってよびかけると、また、ピンポンだまが、せんりがんになった。
みえたことをうたがうと、ピンポンだまに、もどるらしい。
しばらく、くりかえしていると、おたがい(せんりがんと、パパママ)にも、ようりょうがつかめてきて、「よくみえる~」ってせんりがんをほめると、もっとみえるようになるし、「もう、おしまい」って、かたづけたいときは、「んがりんせ」のモジをピッタリあわせたらピンポンだまにもどることもわかった。
このへんは、くふうがとくいなママによるはっけんだ(それにしても、せんりがんをかけてるときのまぬけなかおは、なんとかならないだろうか)、といたるクンのパパはおもったわけだけど……。
さて、
せんりがんでとおくのものも、みらいのこともみえる
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めが、うるうる、してるかんじ |
せんりがんでとおくのものも、みらいのこともみえることは、みんなにもわかったよね。
みんなだったら、こんなせんりがんがあったらなににつかうだろうか?
ねんまつジャンボ、かぶかよそく、きくかしょう、てじなのたねあかし、テストの……。
いたるクンのパパはじっちょくな(まじめな)かいしゃいんだし、いたるクンのママもかざらなくてもいいママなので、ギャンブルとおおかねもうけにはむえんだった。
せんりがん のもちぬしはだれだ?
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だれかのわすれもの? |
だから、ふたりは、せんりがんをつかって、もちぬしをさがすことにしたんだ。
みんなは、せんりがんがヨーグルトのなかに、はいっていたのをおぼえているだろうか。
これは、テングがヨーグルトのあじみをしようとふたをあけたときに、せんりがんをおとしていってしまったからだったんだ。
おなじしろいろだから、テングがきづかなかったらしい。
そんなことが、せんりがんをつかったちょうさでわかったし、せんりがんじしんも、テングのえいぞうをうつしているときは、なんだか、めがウルウルしているかんじがした。
テングさまをごしょうたい
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まいしゅう、もくようびに やってくるテング |
そして、こんどのもくようびにテングがくることがわかったので、いたるクンのパパは、もくようびに「ゆうきゅうきゅうか(おやすみのこと)」をとって、「←んがりんせ」ってプリンターでいんさつしたかみをなんまいも、かべにはっておいた。
そして「すいはんき」のまえにせいざして、テングがくるのをまった。
はたして、マドがあいていないのに、バサっと、かぜがふいて、テングのこえがきこえたんだ。
やってきたテング
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どっからでもかかってこい!のパパ |
「せんりがんをかえしてくれてありがとー、なにかおれいをさせてほしい」
「い、いいえ、いいえ、けっこうです、なにとぞ、なにとぞ~」
いたるクンのパパには、テングがちょっとこわすぎたのかもしれない。
「それじゃあ、なにかプレゼントしたいから、うけとってほしい」
「い、いいえ、いいえ、けっこうです、なにとぞ、なにとぞ~」
「それじゃあ、かくれみのをやろうか?」
「い、いいえ、いいえ、けっこうです、なにとぞ、なにとぞ~」
「それじゃあ、うちでのこづちはどうじゃ?」
「い、いいえ、いいえ、けっこうです、なにとぞ、なにとぞ~」
「それじゃあ、ききみみずきんは?」
「い、いいえ、いいえ、けっこうです、なにとぞ、なにとぞ~」
「それでは、もうやるものがないが……。じゃあ、かぞくみんなをうちわであおいでいってやろう、それならよかろう」
「い、いいえ、いいえ、けっこうです、なにとぞ、なにとぞ~」
というわけで、テングはせんりがんをポケットにしまって、せなかのリュックサックからいちぢくの「はっぱ」みたいなうちわをとりだすと、いたるクンとパパとママを1かいずつあおいで、バサっと、とんでいった(ようなオトがした)。
というぐあいで、じっさい、テングはみえなかったんだけど、
しょうじきものは、ちょっとくらいトクをする
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プライバシーほごのため、うしろすがた |
いちぢくのはっぱみたいなテングのうちわであおがれた、いたるクンのいっか(かぞくのこと)は、みんな、ちょっとだけ「はな」がたかくなったんだよ。
もちろん、このあと、うまれてくるきょうだいたちもそうだ。
おしまい。
この記事の続きが読みたい人はこちらへもどうぞ:【てんぐのうちわ】とっとりけんのだいせんの、むかしばなし
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